歴史絵巻を読む

今回は塩野七生さんの作品を2つ紹介したいと思います。アイキャッチ画像はphotoACから。

塩野七生さんの作品で最も有名なのは「ローマ人の物語」だと思います。文庫だと43巻もあるんですね! ローマ帝国の誕生から東西に分裂して事実上崩壊してしまう(だいたい紀元前8世紀半ばから西暦5世紀末ごろ)までを、時代時代の主要な人物に焦点をあてて語っていく歴史絵巻です。

今回紹介するのはそれではなく、「ローマ人の物語」より前に書かれた大好きな作品2つです。

一つめは「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年」。

私が購入したときには中公文庫で上下2冊だったのですが、今は新潮文庫で6分冊になっていますね。長い物語であることは確かです。時代的にはローマ帝国の崩壊後の西暦7世紀末ごろ(697年)からナポレオンによって滅ぼされてしまう18世紀末までの「ヴェネツィア共和国」の歴史をヒーロー物語でなく、リアリストであり過ぎるくらいリアリストな市民や貴族たちの物語として語っています。「ローマ人の物語」よりも物語色が強いと思います。

ヴェネツィアの歴史は、ローマ帝国という強大な力を失ったイタリア半島に東方や北方から侵入してくる蛮族たちから、人間が住む場所としていなかった湿地帯に逃げ込んだ一群の人々から始まります。

そこから1千年の間、水の上に都市を作り、最盛期でも15万人程度の人口でしかなかった小国が地中海の貿易を支配し、ローマ教皇や神聖ローマ帝国などの強大な勢力からも独立を維持し続けます。

これほどの長い間、共和制国家を維持し続けることができた理由を述べる力は私にはありませんが、そこに生きる人たちが持ち続けていたリアルな(リアルすぎる)世界観が大きな力であったことは間違いないと思います。

歴史を語っている書物なのですが、何よりもワクワクできる物語としてオススメしたいです。

もう一つの作品が「わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡」です。

こちらも私が買ったときは文庫1冊だったのですが、現在は3分冊です。

こちらは「マキャヴェリズム」で有名な(^^;)「ニッコロ・マキャヴェリ」の生涯を伝記風の物語として語ったものです。

マキャヴェリは都市国家であった「フィレンツェ共和国」の外交官を職業としていた人でした。学校で学ぶ歴史では「君主論」の人くらいで思想家か哲学者のようなイメージが持たれているのではとおもいますが官僚でした。ルネサンス期の複雑な国家間の利害関係を調整するため、何よりもフィレンツェが生き残るために、様々な国や人と交渉を仕事としていました。君主論はその経験に基づいて書かれたものです。

この物語はマキャベリの誕生から、外交官としての経験、君主論を書き、やがてフィレンツェ共和国の崩壊まで当時の歴史背景や力関係など綿密に描いています。

こちらも伝記、歴史絵巻ではありますが、何よりもワクワクする物語としてオススメです。

社会の中で仕事や生活をしていると、理想と現実、利他と利己、善き事と生き延びるため必要な事、様々な相克に常に苦しめられます。その一つ一つに決断していかなければいけないですが、私は👍(善き側)であるよりも👎(悪しき側)に近い決断になってしまうことが多いと自分では思っています。今日紹介した物語は国家、人の歴史物語ですが、どちらも決断についての物語だと私は思っています。そして自分の決断について、少しの慰めをもたらしてくれるありがたい物語でもあります。

終わり

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この記事を書いた人

弊社代表取締役です
18才からプログラミングを仕事にしてきました
紙の本と歩くことが好きです

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