
これが弊社のオフィスです。冗談でもなんでもなくGather というサービスを利用して実現している私たちのオフィスです。この記事を書いているのは週末なので私しかいませんが。Gatherは会議室でミーティングしたり、隣の人と話したり、ソファで雑談したりということを自然に行うことができます。またそれらの様子(誰と誰が話している)を、他の人も見ることができます。ドラクエ1のような感じです。
リモート体制になって5年目になる今まで文書共有サービス、電子会議サービス、チャットサービスなど様々試してきましたが Gather が一番私たちの働き方にマッチしていると私は感じています。
会社の業務を全てリモートで行うように変更したのは、他の多くの会社と同じようにコロナ禍からでした。実は東京オリンピックの開催を契機にフルリモート体制にしようと考えていたのですが、オリンピックでなく新型コロナウィルスのほうが先にやってきてしまいました。
多くの会社と異なりコロナ禍の収束とともに出勤体制に戻すということはやっていません。地方在住者の採用を増やしたこともあり出勤体制に戻すことはもうできません。
出勤体制に戻すことを考えていないのは「生産性の向上」や「ワークライフバランスの改善」のようなそれらしい理由ではなく(全く理由でないわけではないですが) 代表である私がリモートのほうが良いからです。
この記事を書いてみようと思ったのはリモート体制を始めた理由、やめない理由を社員にキチンと説明をしたことがなかったからです。
少し私の仕事歴史を書かなければいけません。私は北関東の出身で高校卒業と同時に東京の会社に就職して働き始めました。昭和の終わりのほうです。ガタガタと時は流れいつの間にか結婚をし30歳のときに長男が産まれました。同じ時期にいろいろなことを考えたり考えないといけなくなったりして32歳のときに家族と一緒に北関東に戻りました。1997年ですね。それからコロナ禍になるまで正社員だったり派遣社員だったり、会社の代表だったり働き方、働く場所は様々でしたが、およそ23年の間、北関東から都心エリアへの通勤が基本となる働き方でした。
基本は電車、時には自動車、通勤時間は片道2時間を切ることはありませんでした。週末以外の毎日、おおよそ5時間以上は通勤に使っていたことになります。本を読むことが好きな私ですが、そんな長時間読み続けることもできず眠っている時間のほうが長かったです。
2012年に会社を作り、時間の使い方が少しは自由になったとはいえ、体力の衰えも感じ始めていましたのでこのまま通勤を続けるのは正直キツいなと感じていました。そこで東京オリンピックです。当時既にインバウンドの増加が全国のホテルや交通機関に影響を与えるようになっていました。私は “2020年の東京オリンピックの開催前後にかけて東京中の交通機関が大変なことになり通勤どころではなくなるはず” という最もらしい理由を主張してフルリモートワークを会社の規定に盛り込みました。そして自分もリモートワーク基本になろうと画策しました。
そしてコロナ禍がやってきました。まったく予想もしていなかった理由からフルリモートの働き方がスタートし、そして今に至っています。採用のやりかたも変え、仕事の仕方や進め方などでいろいろな問題にぶつかったり苦しんだりしましたが、今はこれで良かったと思っています。
リモートワークが私に与えてくれた最大のことは、体が楽になったことではなく、それまで自分の役割は別のものだと意識的にも無意識的にも思ってしまっていた家事や介護に向き合わせてくれたことだと思っています。細かく書くことはできませんが、これらのことに向き合えぬまま仕事を続けてしまっていたらと考えるととても恐ろしいです。
子供二人は既に独立し、2025年現在の私は妻と高齢の両親と同居しています。通勤を続けていた私と基本的に家で仕事をしている私。重要な分岐点があって今その自分はその一方にいます。分岐点の向こう側とこちら側では家族との関係も大きく変わっていたのではないかと想像できます。個人としての私はこちら側にいて良かったと思っています。
リモートで働くことによって見るもの、見なくなるもの、得るもの、失うもの、一人一人それぞれだと思います。暮らしている場所、日々出会う人もバラバラで、それらをひっくるめて通勤型の働き方と、リモート型の働き方の良い点、悪い点を比較したところで意味はないと思っています。つまるところこれは会社の行き方、個人の生き方の選択であって、あっちにいったりこっちに戻ったりできるものでもないなというのが会社を経営する人としての私の現在位置です。
終わり
