AI時代のシステム作り (2025年12月版)

生成AIの登場と普及によってシステム作りの考え方が大きく変わろとしています。そのことに対する私の現在位置を改めて書いてみようと思いました。

私たちIT技術者が生成AIについて考えるとき大きく二つの視点があると思います。

  • 私たち自身の仕事に対してどのような影響があるのか
  • 私たちが提供したものを使ってくれる人々にどのような影響があるのか

この記事は後者の視点で私なりに考えていることを書いたものです。

生成AI以前、IT技術者である私たち提供するシステム(場合によってアプリと呼ばれたりサービスと呼ばれたり様々ですがそれらのものをひっくるめて)が、どのように作られるのかを超ザックリでイメージにしてみた図が下記です。

今までのシステム作りは「ユーザーあるいはニーズから汲み取れる抽象的な情報」をIT技術者の手で「具体的なプログラム」に段階的に落とし込んでいく作業でした。最終的にユーザーが手にする機能や利便性はIT技術者たちによって落とし込まれた具体物から得られるものだけでした。

コンピュータは具体的なもの(プログラム)しか実行することができませんので当たり前のことですが、得られる機能や利便性は、過程に関わるIT技術者の質、技術者や所属する企業が持っているノウハウ、注ぎ込めるIT技術者の数などに(比例するとは言いませんが)大きく依存するものでした。

生成AI後のシステム作りの超ザックリイメージを図にしてみました。

まずは私たちが行う段階的に落とし込んでいく過程にAIが参加しています。そこは私たちIT技術者だけの問題なので良いでしょう。生成AI時代のシステム作りに一番大きな影響があることは

  • 「抽象的なアイデアや希望」などを生成AIを使ってそのまま実行することができる場合がある

ということではないかと思います。

ドンピシャな例が思いつきませんが、例えば「カメラで撮影した画像に熊が映っているかどうかを判別して通知する」システムが欲しいという希望があったとします。

生成AI以前であれば、画像認識の経験や実績のある企業やIT技術者に依頼して、それなりの時間とコストをかけたシステム制作をしなければならななかったと思います。あるいはそのような機能を持つソフトウェアやサービスを購入して自分たちで自動化しなければいけなかったでしょう。経験も実績もないIT技術者に依頼してしまうと猫しか認識できないようなシステムができあがっていたかもしれません。

しかし生成AIのサービスを利用すると「この画像の中に熊が映っているかどうかを判別して」のような人間の言葉だけで、その機能が実現できる可能性があります。生成AIのサービスを使うことはIT技術者を何人も使って専門のシステムを作ることに比べれば圧倒的に低コストです。精度の問題はとりあえずおいておきますが、どちらも100%でないことは同様です。

私が好きなアクション映画のボーン・アイデンティティーの中で、主人公のジェイソン・ボーンに対して「お前は3000万ドルをかけて作られた人間兵器だ」と語られるシーンがあったと記憶しています。今や生成AI企業に対して数千億ドル、数兆ドルの投資のような話題が続き、はたして人類にそのような投資に見合うだけAI需要があるのか私にはわかりません。

生成AIは、人の言葉で表現した抽象的な概念を理解して何かを行うことができます。ただ膨大な知識を持っている反面、まるで人間のように勘違いや考えすぎを起こすこともあります。

しかしそれをうまくコントロールして(人間に何かを頼むのっていつも難しいですよね)機能を提供することができれば、今まで「想像はしてみたけれどそんなコストはかけらるはずもない」と考えていた人たちに、その想像に近い機能や利便性を現実的なコストで提供できる可能性がある。そんな時代が来たというのがAI時代のシステム作りに対する私の現在位置です。

AI技術は日々変化していっていますので継続的に現在位置を書いていこうと思います。

続く

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この記事を書いた人

弊社代表取締役です
18才からプログラミングを仕事にしてきました
紙の本と歩くことが好きです

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