はじめに
私たちが仕事をするIT業界、私たちはその中でもプログラムを開発する仕事を主戦場としてしてきました。そんな私たちにAIの大きな波が押し寄せるようになってきてしばらく経ちます。
この文書は、その時その時で私たちがどのような位置で、どのようなことを考えてAIに取り組んでいるのかを記録していこうという思いで書いています。
開発業務でのAI活用
扱っているものがデジタルで表現されていて、作業過程の多くの部分が論理的な思考に基づいて行われるプログラミング作業は、LLMがとても得意とするタスクだと思います。この部分は毎日のように新しいツールや方法論が発表されます。
既に私たちの仕事には欠かせないツールになっていますが、私たちが作るサービスへのLLM適用のための経験値を上げるという意味でも、ただ便利に使うというよりはLLMに思った通りのタスクを実行させるためにはどうしたら良いかを考えながら日々の作業を行うという感じです。

使っているツール、使い方はスタンダードだと思います。
サービスへのAI適用
LLMは私が今まで携わっていたコンピュータやソフトウェアから大きくジャンプした能力を持つ新しいコンピュータであり、新しいプログラミング言語であるととらえています。その能力の高さのために、それを作成したり維持したりすることに膨大なコストや電力がかかるのも事実です。そして私たちが手にしたことのない素晴らしいコンピュータであることも事実です。
今までできない、できそうもないと考えていたことがLLMを使えばできるようになるかも、という期待はとても高まっていると感じます。
私たちの仕事はLLMを使うことではなくて、その期待に応えることだと考えています。以下は私がLLMというものをどう認識しているかなので一般的にこのように定義されているということではありません。LLMは
- 膨大な知識を持っている
- 人語を理解する/操れる
- 抽象的な概念を扱うことができる
- デジタルデータの扱いは非常に得意
だが
- あなたのことは良く知らない
とても賢い子というイメージです。
この「とても賢い子の能力を日々の仕事に役立てることができるようにする」ことが、「コンピュータやインターネットの能力を日々の仕事に役立てることができるようにする」を使命としてきた私たちプログラム開発者に与えられた次の使命なんだと考えるようになりました。
そのためにどのような技術開発や研究を今(2025年11月時点)で行っているかを表現したものが次の図です。「あなたのことを知っている」という状態にするために、あなただけが知っている情報を扱えるする必要があります。そのために私たちが行う必要があることを概念図として書いたものです。

新しい専用のモデルを開発するとか、追加学習させるなど膨大なコストがかかるようなことは考慮していません。既存のモデルをAPI利用のような形態で使う前提です。
低いコストと実用性のバランスを取りながら「あなたのことを良く知らない」を「良く知っていて役に立つ」に変えるために何が必要になるのかを考えて実装することが開発の中心になると考えています。この図の中で「ドメイン知識」と書いているのは「業務知識」と考えてください。業務知識の中には属人化してしまっているノウハウなども含まれることになります。
業務によっては、扱っている・扱いたい情報が全てデジタル化されているわけではないというケースも多いと思います。むしろそのような業務、ケースのほうがLLMに対する期待は高いのではないでしょうか。

私たちは、先の図に示した大きなフローだけでなく、アナログ情報をデジタル化するというややミクロなタスクの領域でもLLMの能力を活用して、今までは実現が難しいと考えられていた機能も実現できると想像して仕事に取り組む必要性を感じています。
2025年11月現在の取り組みを整理してみました。私たちプログラム開発者の主戦場が、高度なインテリジェンスを持つ新しいコンピュータにどう仕事をさせるかに移って来たのは確かなことだと思います。その新しい場所でも価値ある存在であり続けられるように頑張っていこうと思います。
続く
