2025年最後の私が影響を受けた本を紹介するシリーズなので「ロンサム・カウボーイ」に続き、ただただ好きなだけな本と作者を紹介します。キャッチ画像はUnsplashから。
タイトルの”Everybody counts or nobody counts”は英語の文章や会話で時々使われる表現のようです。日本語だと「誰もが同じように大切で、誰か一人を大切にしないなら全ての人が大切ではない」となるでしょうか。私がこの表現を初めて知ったのはアメリカの作家マイクル・コナリーが書いたハリー・ボッシュ・シリーズを Amazonがドラマ化したBOSCH/ボッシュ ででした。
ドラマと原作は設定やストリー、登場人物が少しずつ違うのですが骨格は同じ。ロサンゼルス警察の殺人課刑事であるハリー・ボッシュを主人公とした刑事ストーリーです。
主人公のハリーは殺人課刑事なので “Everybody counts”のcountsが被害者に直結しています。被害者が生きていたときの属性が何であっても同じ一人の被害者として扱うという強い信念を表す言葉として度々登場します。ボッシュ・シリーズを象徴する言葉です。
ボッシュは母親の殺害、アフガン駐留(原作ではベトナム戦争)、ロサンゼルス暴動などによって負ってしまった心の傷を抱えながら一つ一つ丁寧に、時には強引に真実の糸を辿っていきます。Everybody counts.. の強い信念のもとパートナーや組織とぶつかりながら進んでいきます。それぞれのストーリーであつかう事件や人物は異なりますが、背骨となるのはこの”Everybody counts or Nobody counts”だと思います。
私がこの言葉を好きなのは、平等や権利について語っているのではなく「お前はどうするのだ」ということだけを突きつけてくるからかもしれません。
ドラマは刑事物によくあるような1エピソード1事件ではなく、1シーズン(10エピソード)をかけて1つの事件を中心に丹念に描いていきます。ロスアンゼルスの街の描写もとてもリアルだと(私は行ったことありませんが)思います。
原作の翻訳は初期の作品群は扶桑社 から出版されていますが、こちらは既に電子版でしか手に入りません。

中期以降は講談社から出版されていて電子版か紙の本(絶版の版もあり)で入手できると思います。翻訳者は扶桑社の時代から同じかたがやられていますので、雰囲気が変わることなく安心して読むことができます。

ドラマも原作も、ロサンゼルス警察を退職した後の私立探偵時代、女性刑事であるレネイ・バラードを主役として脇役に回ったストーリーなど、いずれも魅力的な作品が続いています。
ハリー・ボッシュシリーズを見て読んで、私が強く印象付けられるのはロスアンゼルスという街の広さと混沌、あと「アメリカ人て大変だな」です。
2025年最後の投稿です。終わり。
